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膝関節痛に対する膝関節鏡2021.02.26

膝が痛いと整形外科を受診される方はたくさんいらっしゃいます。お話を伺って診察して必要な検査を行います。そうやって原因を見つけるのですが、多くの場合、膝関節の中に原因があります。そんな時に膝関節鏡を行うことでより多くの情報が得られ、治療により多くの効果が得られます。

膝関節鏡とは?


膝関節の病気やケガの画像検査には単純レントゲン検査(ストレス撮影を含む)、関節造影検査、超音波検査、CT検査、MRI検査などがあり、それぞれ有効な検査です。しかしながら、これらはすべて膝関節の中を直接見ているわけではありません

それに比べて膝関節鏡は膝の関節の中の様子を直接に観察することができます。そのため診断がより正確になります。

膝関節鏡の利点、問題点

利点は膝の関節の中の様子を直接に観察することができ、そのため診断がより正確であることです。そして診断が滑膜や半月板などの障害であれば同時に治療を行うことができます。たとえば、滑膜切除術や半月板縫合術、半月板部分切除術などがその代表になります。
問題点は膝関節周辺に切開を加えて関節鏡を関節内へ挿入する必要があるため手術となることです。しっかり麻酔して行いますので入院も必要となります。しかし、そんなに大きな手術ではありません。多くは1-2cmの創が2-3か所できるだけですし、入院も2-3日程度で可能で、長くても1週間以内に退院することができます。

膝関節鏡の実際

膝関節鏡は細い棒状の先端を膝関節内に挿入してその像をモニターに映し出します。膝関節の中を直接観察して異常がないかどうか観察して診断します。異常があればそれがすぐに治療可能かどうかを判断し、可能なら器械を使い、関節鏡で見ながら治療します。

膝関節の正常像

膝関節はおもに大腿骨と脛骨、膝蓋骨で構成されており、関節包という袋に包まれ、骨の表面は軟骨で覆われています。正常の軟骨は表面が白色でなめらかな柔らかい組織です。その間に関節を安定させる半月板が内側と外側に存在しています。半月板という名前ですが、実際は三日月様の形をしています。
関節包全体は滑膜という組織に覆われており、関節内に炎症が広がれば増殖して腫れてきます。
また膝関節は4つの主な靭帯で支えられていますが、そのうち前十字靭帯と後十字靭帯という2つの靭帯は関節内に存在します。特に前十字靭帯は関節鏡でよく観察することができます。

膝関節の代表的な異常像

膝関節鏡で診断して治療できる代表的な疾患は半月板断裂と滑膜障害です。
半月板は内側と外側に存在し、膝に体重がかかった状態で捻られると起こりますが、多くはいつ痛めたのかわからず、はっきりした原因のない膝の痛みで病院に来られます。いろいろな断裂のしかたがありますが、関節鏡で直接観察して診断し、半月板を縫合あるいは切除します。なかには外側半月板が生まれつき大きい場合があり、円板状半月板と呼ばれます。これ自体は異常ではないのですが、断裂を起こすと痛みを生じ、膝関節鏡手術の対象となります。
滑膜障害には内側に存在する滑膜ひだによる障害と、膝関節全体あるいは部分的に滑膜が増殖して腫れてくるものとがあります。内側滑膜ひだは生まれつき約半数の人が持っていると言われますが、その大きさや厚さは様々で、膝の大腿骨に刺激されて痛みが生じることがあります。薬や注射で治療しても良くならないときには膝関節鏡で切除します。膝関節全体あるいは部分的に滑膜が増殖して腫れてくるものは代表的な病気として関節リウマチや感染があります。原因となる病気の治療を行いますが、治療の補助として膝関節鏡を用いて滑膜切除を行うことがあります。
また、骨表面の軟骨の障害を生じていることもあり、特に多く見られるのが変形性膝関節症です。他の検査でも診断がつきますが、その程度がよりはっきりとします。治療は膝関節鏡だけでは十分でないこともあり、その場合は別に計画する必要があります。

 

その他にも様々な場面で行うことがあり、膝関節の痛みが続いておられる方は一度整形外科でご相談ください。

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