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大腿骨頚部骨折について2020.11.16

足の付け根の関節である股関節を構成する大腿骨を、股関節の近くで骨折すると大腿骨近位部骨折になります。多くは高齢の方が骨粗鬆症という骨がやせて弱くなってしまう病気を背景として、立った位置からの転倒などの軽い外力で生じます。そのため骨折の治療だけでなく、骨粗鬆症の治療もあわせて行い、二次骨折予防を行うことが必要になります。また、高齢の方がほとんどであるため、できるだけ早くベッドから離れて座ったり歩いたりする練習をしていただき、元の生活にできるだけ近い状態へ戻っていただくことが重要です。

そのため、われわれはリハビリテーションや合併症の予防、骨粗鬆症の治療に力を入れ、スタッフ全体で取り組んでいます。

大腿骨近位部骨折とは?


股関節は骨盤と大腿骨の間の関節ですが、その大腿骨における骨折です。5ヵ所に分けられ、上から順に、骨頭骨折、頸部骨折、頸基部骨折、転子部骨折、転子下骨折に分けられますが、このうち頸部骨折と転子部骨折が大多数を占めますのでここではこの2つの骨折について説明させていただきます。

どちらも股関節の痛みを主に訴えられ、多くは歩行困難となり救急車で搬入されたり家族に支えられて受診されることがほとんどですが、まれではありますが、歩いてこられる方もいらっしゃいます。どちらも屋内や屋外を歩いていて何かにつまずいて転倒されたりベッドから転落されるといった軽い外力で起きますが、自転車で転んだりして起きるともあります。

治療の基本はできるだけ早くにベッドから離れることを目指しています。そうすることで筋力の低下を最小限に抑え、長く寝ていることにより生じる合併症を防ぐためです。そのために最も適した治療法を選択することになります。

大腿骨頸部骨折

大腿骨頸部骨折は股関節の関節包(関節の袋)の中で骨折するため、出血量は少なく、股関節や大腿部の腫れは軽度です。そのため股関節に強い痛みを訴えられますが、全身の状態に与える影響は後で説明する大腿骨転子部骨折と比べてあまり大きくありません。

治療には保存治療と手術治療があります。骨折する前に歩かれていたのであれば手術を選択します。手術には骨接合術と人工骨頭挿入術、人工股関節置換術があります。骨折部がかみこんで安定してれば骨の癒合が期待できますので骨接合術を選択して金属で固定します。骨折部がずれてはずれてしまっていれば骨折は癒合が期待できないため人工骨頭挿入術や人工股関節置換術を行います。70歳以下で重大な合併症がなければ人工股関節置換術を行い、80歳以上なら人工骨頭挿入術を選択します。70歳代では個々の症例によって検討し選択します。骨接合術では自分の関節を残すことができる反面、骨折が骨癒合しなかったり、大腿骨の先端部の骨頭が血行障害を生じて骨壊死を生じることがあります。人工骨頭挿入術や人工股関節置換術ではそういった心配はありませんが、耐久性の問題があり、定期的にレントゲンチェックを行い、緩んでくれば入れ替えが必要になることがあります。

合併症などで全身状態が悪くて手術ができない場合はもちろんですが、骨折前の状態が寝たきりや車いす移動であった時にも保存治療が選択されることがあります。大腿骨頸部骨折は関節内骨折なので手術しなくても痛みはなくなるか軽くなることが期待でき、荷重歩行はできませんが積極的にリハビリテーションを行うことで早くから車いす移動が可能になります。

大腿骨転子部骨折

大腿骨転子部骨折は大腿骨頸部骨折よりも少し足側の骨折で、股関節の関節包の外で骨折するため筋肉内へ出血します。そのため、時に大出血を生じてショックか起きることもあります。股関節に強い痛みを訴えることは大腿骨頸部骨折と同様ですが、股関節や大腿部の腫れは強くなり、貧血をきたすことが多く、しばしば輸血を必要とすることがあります。

治療は可能な限り手術を行い、骨接合術を行います。骨折をもとに近い状態に戻し、金属で固定します。そうすることで手術翌日からリハビリテーションを行い、座位や立位、歩行訓練を進めることができます。当院では大腿骨頸部骨折と同様に大腿骨転子部骨折に対しては可能な限り早期の手術を目指して行っています。保存的に治療することはまれで、これは骨癒合が期待できないのは大腿骨頸部骨折と同様ですが、治療しても痛みが残ってしまい、活動性が強く制限されてしまうためです。

大腿骨近位部骨折の予後

大腿骨近位部骨折の予後には活動性の予後と生命予後に分けられます。

活動性は骨折直前の状態に戻ることを目標に治療を行っていますが、すべての例で骨折前の日常活動レベルに復帰できるわけではないという現実があります。骨折後に寝ている期間が長ければ長いほど失われる筋力が大きくなったり、肺炎や褥瘡、認知症などの合併症が起こりやすくなるわけで、そのためにわれわれはできるだけ早く手術をしてベッドから離れていただき、しっかりとリハビリテーションをしていくことを目指しています。しかしながら、状態によっては手術までの時間が長くかかったり、手術後のリハビリテーションが思うように進まなかったりすることで骨折前の状態に復帰できないこともあります。

また、大腿骨近位部骨折では生命予後が悪化することが知られています。そのため骨折しないことが重要であり、骨粗鬆症の治療をしっかり行って予防することが必要になってきます。

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